歯周病とは
歯周病は、むし歯とともに「歯の2大疾患」と呼ばれ、歯周病の原因になる細菌の感染によって起こります。
歯の周りに付着した細菌の塊(プラーク)が毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こしたり、歯と歯ぐきの隙間に入り込んで、歯を支えている骨を溶かしてしまう病気です。
自覚症状がほとんどないため、気がついた時にはかなり悪くなっていることも……。進行具合によっては、歯を抜かなければならない場合もあります。
また生活習慣病の一つである歯周病は、心臓疾患や糖尿病など他の生活習慣病とも深く関係していて、歯周病を治したら糖尿病も改善してきたという報告もあります。
その他にも、脳血管疾患・脳梗塞・誤嚥性肺炎・骨粗鬆症・低体重児出産・早産・関節炎・腎炎などの全身疾患と互いに悪い影響をおよぼしています。
歯周病の症状
- 歯を磨くと血が出る
- 口臭がつよい
- お口の中がネバネバする
- 歯がグラグラする
- 歯ぐきがはれている
- 硬いものが噛みづらい
これらが自覚しやすい症状です。歯周病は、ほとんどの場合、痛みがなく知らない間に進行しますので、ご自身で気付かれた時には、かなり進行していることが多いです。また、歯周病は「歯石を取り除いたら治る」という簡単なものではありませんので、患者様と私達が協力して、継続的に管理していく事が重要になります。大変かもしれませんが、一緒に「お口の中を健康な状態に戻すこと」を目標に努力していきましょう!!
治療の流れ
歯周検査①
まず、歯と歯ぐきの境目の溝(歯周ポケット)の深さを測ります。この時に、出血がないか?歯が揺れていないか?もチェックします。
- ★歯周ポケットの正常値は2~3mmですが、大切な事は出血があるかどうかと、汚れがあるかどうかです。数値だけ良くても歯ぐきが炎症を起こしている場合があります。
スケーリング
「上の歯」と「下の歯」の2回に分けてプラークや歯石を除去します。(上下2回に分ける事は、厚生労働省より定められております)
- ※超音波の振動を利用した器械でクリーニングを行います。
- ★歯みがき指導(ポイントをお伝えします)も行います。
歯周検査②
スケーリングから1週間後以降に再検査をします。ここでは、ブラッシングによって歯ぐきの炎症がおさまったかどうかや、歯ぐきの中の細かい歯石の有無を確認します。
1本の歯につき、6箇所で測定する精密な検査となります。
- ★この精密検査で、深いポケットがあり、出血もある場合は、次のステップへ治療を進めていくことになります。検査結果が良好だった場合は、メインテナンスへ移ります。
SRP
歯周ポケットの深い所に付いた細かい歯石や汚れを取り除きます。お口の中を6つのブロックに分けて、1ブロック1回の治療(計6回)で丁寧にお掃除させていただきます。(歯石の付着している状況や残存歯の本数により、回数が変動します。)
- ★治療中に痛みを感じないように麻酔をします。ほとんどの場合は塗り薬による表面麻酔ですが、それでも痛い場合は麻酔の注射をします。また、一時的にしみたり、歯ぐきが腫れる場合があります。普段から知覚過敏でお悩みの方はスタッフにご相談下さい。感染予防の為、消毒用のうがい薬をご自宅でも使用しましょう。
- ★歯ぐきの掃除をした後、知覚過敏の症状がでたり、歯ぐきが引き締まる事により、歯肉退縮することがあります。
歯周検査③
SRPから2週間後以降に再検査をします。この検査では、歯ぐきの状態がどのくらい良くなったかを確認します。
歯周外科治療
検査結果が思わしくない場合は、歯周外科治療に進む場合があります。
- ※適応症があり、すべての患者様が歯周外科治療に移行するわけではありません。
歯周検査④
歯周外科治療から約1~2ヶ月後以降に再検査をします。(治療の状態によって時期を決定します)この検査では、歯ぐきの状態がどのくらい良くなったかを最終確認します。「かぶせもの」が必要な患者様は、ここで初めて「かぶせもの」をつくる治療に進む事ができます。
- ★これ以前に「かぶせもの」を作ってしまうと、「かぶせもの」と歯ぐきの境目の位置を適切に知る事ができず、出来上がったあとに、見た目の悪いものとなってしまったり、汚れが中にたまり炎症を起こす原因となります。したがって、当院では歯ぐきが一番良い状態で「かぶせもの」をつくる治療に移るのです。
SPT
歯周病の定期的な管理
歯周病は生活習慣病のため、歯科医師・歯科衛生士のサポートケアが必要になる場合あります。歯周病の治癒経過が良好でも再発の可能性が高い患者様は1~3ヶ月の短い間隔で、定期的なCheckをしましょう。
メインテナンス
歯周検査④で検査結果が良好だった場合はメインテナンスに入ります。
すべての治療が終了した時が「新たなスタート」です!!歯周病の再発を防ぐために、正しいブラッシングと定期的なメインテナンスが不可欠です。
- ★ブラッシングに自信のない方は、期間を短くして定期検診しましょう。
歯を支えている組織
(歯周組織)
歯は「歯槽骨」といわれる骨と「歯肉(歯ぐき)」、「セメント質」、「歯根膜」で支えられています。
歯肉(歯ぐき)
神経や血管が通っている歯根膜や歯槽骨を、細菌や衝撃、異物の浸入から守っています。
歯根膜
歯と歯槽骨を繋ぐ役割をしています。
物を噛んだ時、クッションの役割をして、歯にかかる衝撃をやわらげています。
セメント質
歯の根の表面を覆っているもので、歯と歯槽骨を歯根膜によって固定しています。
歯槽骨
歯を支えている重要な骨で、歯周病などで大幅に歯槽骨が溶けると歯を支えられなくなります。
歯周病の進み方
健康な状態
歯ぐきは引き締まって、薄いピンク色。
歯と歯ぐきの境目には1~2mm程度の隙間がある。
歯肉炎
歯の周りにプラークが付いたままの状態が長く続くと、歯ぐきに炎症が起こり赤く腫れる。歯磨きで出血してくる。
歯周炎(軽度)
歯ぐきの炎症がひどくなり、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)が3~5mmと深くなる。
歯を支えている歯槽骨が溶け始める。
歯周炎(中度)
歯周ポケットから膿が出て口臭がひどくなる。歯槽骨も半分ぐらい溶けて歯がぐらぐらしてくる。
歯周ポケットの深さは5~7mm。
歯周炎(重度)
歯槽骨の半分以上溶けてしまい、歯はぐらぐらに。
歯周ポケットの深さ7mm以上。